教室紹介

 

 

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Q日本語の「読み書き」って、なんですか? 本を読んで感想を書いたり、作文を書くこと? 漢字の練習とか、するのですか?
A学校で国語の時間に勉強するようなこととは、ちょっと違います。

 

例えば、市や学校からのお知らせを読んだり、薬の注意書きを読んだり、病院の問診表を記入したりと、
日常生活の中で「読んだり、書いたり」する必要のあるものを取り上げて、その日本語を学びます。

 

日本に住む外国人で、「日本語が少し話せても、読むこと・書くことは苦手」という人たちは多いです。
話し言葉と書き言葉の違いもありますし、何より、「ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット」が混じり合った文章を読んで理解することは、本当に大変なことです。日本語が「読めない」ことで、必要な情報が手に入れられず困った、という声をよく聞きます。
そんな人たちのお手伝いをする教室です。

 

生活に役立つ日本語の読み書きを学ぶ「つるま読み書きの部屋」は、2008年1月から半年間行われた「日本語ボランティア養成講座」(NPO法人・かながわ難民定住援助協会主催)の受講生の有志数人が中心になって、同年9月に始まりました。同じ地域に住む外国人が、「日本語が読めない」ということだけで地域社会から疎外されてしまわないように、自信を持って社会参加ができるような力を身につけてほしい。そんな願いから、「生活に役立つ日本語の読み書きを学ぶ」日本語教室が設立されたのです。

「つるま読み書きの部屋」の目的は、「日本人と外国人学習者が、同じ地域に住む生活者の立場で、さまざまなテーマに対する情報や意見を交換し、お互いに理解を深める。 この双方向の話し合いを通して、学習者の文字情報の読み取りの力と、言語の文章化の力を高めることを助ける場を作る」ことです。授業の時は、複数の日本人と学習者が一緒にテーブルを囲み、学びます。
日本人も外国人学習者も同じ地域住民として役立つ情報を共有できる、そんな「場」です。


「読み書き」といっても、ただ日本語を「読んで」、「書く」だけではありません。毎回、取り上げるテーマについて、参加者全員が経験や疑問、意見などを出しあいます。日本人同士が意見を述べ合う場にいることは、学習者にとっては、またとない学習のチャンスになります。また、一つのことを理解するために話し合うプロセスそのものが、学習者にとっても日本人にとっても、貴重なコミュニケーションの時間になるのです。

 

扱うテーマは、文化庁の「生活者としての外国人」が日本語学習によって「できるようになる」ことが期待される「生活上の行為」のリストを参考にしています。「生活に役立つ」もので、緊急性の高いもの(医療や安全、防災に関わること)から取り上げてきました。学習者からの要望に応えて、取り上げたものもあります。

 

授業で使う教材は、メンバー同士で検討してみんなで作っていきます。資料を集め、日本語の分析をし、提示の仕方を工夫します。特に、非漢字圏出身者に対して、漢字を含む情報に慣れ親しむ、漢字への抵抗感を少なくする工夫を考えます。絵・サインとして、まずは、なじんでもらうのです。そして、「書く」練習は、必然性があるもの、にしています。

 

さて、私たちは、何のために読み、書く必要があるのでしょうか?
それは、生活上必要な情報を読み取るため、そして、外国人学習者にとっては、「日本人に向かって」何かを発信するため、でしょう。家庭内のことや、自分自身の覚書ならば母語でもよいのですから。ですから、まず「情報が読み取れること」。その結果、求められる最低限のことを「選んで記入・書く」こと、を目標にして授業をしています。





 

A「つるま読み書きの部屋」と大和市協働事業について

Q:協働事業って、なんですか?

A協働事業とは、「市民、市民団体、事業者と市が役割と負担を明確にしながら、お互いの提案により協力して実施し、社会に貢献する事業」のことです。


2008年9月29日、施行された「新しい公共を創造する市民活動推進条例」は、市民が考えた素案を基本に策定されたことが大きな特徴であり、「新しい公共」という新たな公共の理念や、「市民事業」、「協働事業」、「提案制度」といった理念を実現するための仕組みが盛り込まれています。

詳しくは大和市協働事業のページをご覧ください↓
http://www.city.yamato.lg.jp/web/katudo/jourei.html


つるま読み書きの部屋」の活動が始まった翌年(2009年)、文化審議会国語分科会は、「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の目的・目標と内容(案)」をまとめ、外国人が日本語学習によって「できるようになること」が期待される「生活上の行為」の事例を集めて分類したリストを発表しました。また、これまで主としてボランティアの自主的な活動によって支えられてきた地域に在住する外国人に対する日本語教育を、国、都道府県、市町村等の行政機関などが連携して組織的に取り組む必要があると指摘。
日本語教育の現場を抱える市町村が担うべき役割としては、国の指針に基づき、現場の実情に沿った日本語教育の実施(具体的には、日本語教室の設置運営など)を求めました。


こうした国レベルでの動きもあったので、地元大和市に対しても働きかけをしよう、と協働事業に市民型提案を提出しました。
「外国籍市民が多く在住する大和市において、日本語教室は、単に外国人学習者個人の利益に留まることなく、日本人と外国人の相互理解を深め、多文化共生の地域環境作りに大きく貢献する。日本語を使わずに生活できるコミュニティが形成されつつある中で、外国人の孤立化を防ぎ、社会参加を促し、ひいては地域の防犯にも役立つ。また、外国籍市民の日本語力が上がることで、行政上のさまざまな手続き(市役所やハローワーク、学校等)がよりスムーズに行われることが期待される」と効果を訴えたのです。

提案提出・発表から、担当の「国際・男女共同参画課」との調整会議を経て、2009年8月、「大和市の重要な施策の一つである、多文化共生の実現のためには、外国人市民の社会参加が不可欠。それを可能にするために、日本語の読み書きの力、生活力を高める場が必要」として、協働事業として推進することが決まりました。


2010年度より大和市国際・男女共同参画課と、(公財)大和市国際化協会と三者の協働で事業を行っています。お互いの強みを生かし、信頼関係を築きながら連携していくことで、大和地域における日本語支援の環境整備が図られ、外国籍市民の自立に向けた支援がより効果的に行えます。また、協働であることで事業を効果的に推進し、成果を広く他団体・他地域にも伝えていくこともできてきました。

 

協働事業の期間として3年が経過した2012年に、「これまでの実績を踏まえて成果物をまとめ、大和市に限らず、広く(県内外に)発信していく」という目標を加えた継続提案を出し、認められました。(2期目の事業は、2016年3月まで)



2012年からは、特に「専門家(プロボノ)の活用」を進めています。市役所の職員の方に実際に教室に来ていただいて授業をするのです。これまで、救急救命課、交通安全課、危機管理課、保健給食課から担当の方に来ていただきました。今までは私たちボランティアが、資料集め、資料作成すべてをやっていたのですが、専門分野の解説は専門家に任せる。日本語の資料を作ったり、やさしい日本語に言いかえたりするのを私たちボランティアが担当する、と役割を分けたのです。外国人学習者と、私たち日本人も一緒に学べ、また、市の職員の方にも、外国につながる市民の生の声を聞いて知ってもらえる有益な場になっています。

 

 

B掲載した教材・教案・授業記録について

 

Q資料集にある教材は、実際に使ったものですか?

 

Aこのホームページに掲載した教材は、2008年以来、「つるま読み書きの部屋」で実際に使ってきたものです。教案は、1回2時間の大まかな授業の流れを表しています。他の教室やグループでも使えるように、今までの蓄積を整理しまとめました。

 

 

テーマによっては、複数回、取り上げたものもありますが、ここでは記録もひとつにまとめてあります。
2011年からは、夜講座(月曜日)と昼講座(火曜日の午前)を同時開催しているので、毎回必ず2回、同じ教材を使います。
同じ教材でも、学習者が変わると、出てくる話題も、盛り上がるポイントも全く違ってくるのが、おもしろいところです。

 

Q教材は、毎回、作っているのですか? A そうです。

講座の前に、資料検討会を2回行います。ここで、メンバーがたたき台を持ちより、それを全員で検討し、教材に作り上げて行きます。また、教案もこの検討会で共有し、進行役以外のメンバーが、どこで、どんなサポートが必要か、を確認します。 

 

Q授業は、どんな風にするのですか? A 「つるま読み書きの部屋」では、大体学習者が5〜6人、その学習者の間に、サポート役のボランティアが2〜3人入ります。

 

進行役と呼ばれる人が、「話題の提供」から、学習者への問いかけ、質問に対する答え、教材の読みや書くことの指示等、一連の授業の流れを担当します。その中で、学習者からの問いを他の学習者に振ったり、ちょっと恥ずかしがり屋の学習者の声を拾ったり、という時には、他のメンバーがサポートして進行役を手伝います。そうやって、できるだけ参加者全員が話題を共有できるようにするのです。

時には、日本人の間で意見が分かれることもあります。出身地や年代、性別、職業などで、当然ながら使われることば(語彙)が違ってきます。一口に「日本語」といっても、いろいろな表現がありうる、ということが分かります。また、日本人だからといって、もちろん、日本のことをすべて知っているわけではありません。場合によっては、学習者の方がよく知っていた、ということもありました。


 

同じテーブルを囲んで、同じ地域に住む住民として共に学び、役に立つ情報を共有する。
それは、学習者だけでなく私たちボランティアにとっても、とても楽しい時間です。



 

Qどんな学習者が対象ですか?

 

A「つるま読み書きの部屋」は、講座(全5回)ごとに受講生を募集します。(年3回開催)

 

対象は、「ひらがな・カタカナが読める人」。日本での生活体験があったほうがより理解できるので、来日間もない、という方にはお勧めしていません。

今まで参加してくれた人は、大和周辺に住む、ベトナム、中国、ペルー、カンボジア、フィリピン、台湾、パキスタン、タイ、韓国、カナダからの皆さん。夜講座の学習者は勤労者がほとんどですが、昼講座は主婦の方も多いです。滞日年数は比較的長く、15年以上、という方もいらっしゃいます。

 

学習者の声

 

  • 「この教室のおかげで、日本の生活にすごく役立っています。ゴミのことや、病院のことなど教えていただけて助かっています」
  • 「日本に来て10年経っていても分からないことがいっぱいあって、ここで勉強してとてもよかったと思います」
  • 「この教室では、生活に役立つ勉強として、病気になった時やけがをした時などに、お医者さんに診てもらう時のアドバイスや、住むときの不動産のアドバイスや、お礼状の書き方や、子どもが学校で勉強する時、結婚するときなどにもさまざまなアドバイスを教えてもらって、大変助かっています」
  • 「外国人が、異国の日本で生活するのは、受け入れる側との様々な困難が多く、お互いの誤解や無理解から生じる偏見やトラブルも多く、非常に大変です。その時に、同国の友だちや、ボランティアの先生方の励ましが、何より心の支えになっています」

 

 

Q「つるま読み書きの部屋」では、ボランティアは、募集していますか?


A はい。是非、一度授業の見学に来てみてください。

 

毎年、秋(9月下旬〜10月中旬)に、研修講座(全3回)を開催しています(「広報やまと」とHPで告知)。ここで、「つるま読み書きの部屋」の活動の紹介と、簡単な「日本語の教え方」について講義を行います。講座終了後、希望者には、資料検討会(2回)に参加して教材作成に関わっていただき、その後の講座(5回)を見学していただきます。この一連の流れを見ていただき、

「おもしろそう!」と思ったら、あなたもすぐメンバーに!
* 神奈川新聞に、「つるま読み書きの部屋」の活動が紹介されました。(2014年6月7日)→記事はこちら

 

 

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